【資格】おすすめのプロマネ資格/試験

プロマネ関連の試験/資格

 総合ITベンダーで10年、業務SEとして従事し、また現在は某学校法人の情報システム部門に在籍している経験から、一般的な試験/資格3種について、定性的な観点で記載していきます。

結論から言ってしまえば「情報処理技術者試験プロジェクトマネージャ」がおすすめです。

情報処理技術者試験 プロジェクトマネージャ

高度IT人材として確立した専門分野をもち、システム開発プロジェクトの目標の達成に向けて、責任をもって、プロジェクト全体計画(プロジェクト計画及びプロジェクトマネジメント計画)を作成し、必要となる要員や資源を確保し、予算、スケジュール、品質などの計画に基づいてプロジェクトを実行・管理する者

IPA 独立行政法人 情報処理推進機構:制度の概要:プロジェクトマネージャ試験

 国内でSE、あるいは情報システム部門として仕事をしてくにあたっては、コチラ一択と言っていいでしょう。転職に向けたご自身の価値向上、キャリアアップ、腕試しなどなどほとんどの場合に有用な資格といえます。

1.圧倒的な知名度と信頼性

 ユーザ、ベンダーともに国家試験としての知名度、信頼性はピカイチです。公官庁に限らず、企業の大規模プロジェクト(おおよそ10億円以上の案件)ではプロマネないしPMP保持者が体制上に組み込まれていることが条件となっていることがほとんどです。法律に基づいた国家試験ですので、社内外へのアピールとしてこれ以上ない試験といえます。

 理解のあるお客様であれば、ある程度丁重に接していただけます。

 対ベンダーとしても、名刺交換の際に実力を示すことができますので、良い牽制手段としても効果大です。

2.圧倒的な難易度

 ITSSレベル4ということで、試験で測れる最高難易度とされています。同業者にも一目置かれる、難易度の高い試験として有名です。私が所属していた会社でも、高度情報処理試験ないし後述のPMPが幹部社員としての条件になっていましたが、やはりIPAのプロマネ保持者は名刺に記載があると「この人しっかり勉強したんだな…」とか「根性あるな」ということで評価されます。ではなぜ評価されるのか?そもそもの試験内容に理由があります。

 試験が選択式、記述式、論文といった具合にただの丸暗記では合格できないという点にあります。特に論文については限られた時間の中で、題意に沿い、論理的な記述が必要です。しっかりINPUTし、さらに時間内にOUTPUTするための入念な準備が必要です。これを仕事しながら行うのは、かなりの決意と労力を必要とします。これが同業者から「しっかり勉強したんだな」と一目置かれる理由です。

 さらには試験が一日がかりの長丁場(9:30~16:30)ということも挙げられるでしょう。普段からソルジャーとして残業/徹夜で疲れ切っている現役SEとしては、少しでも出来が悪いと途中で投げ出したくなる試験時間です。SE業界として、資格の有無がそのまま仕事ができる/できないに直結するわけではないので、先輩、同期、後輩と、各年代でも試験は申し込んだものの途中で諦めてしまうといった話をよく聞きました。かくいう私も、何度か午後Iや午後IIを投げ出してしまった経験があります。そんなわけで合格者は「根性あるな」といった評価も得られるわけです。

3.自身の価値向上に直結する

 3番目に挙げながらも、結果としてはこちらが一番”実”のある理由かもしれません。試験内容の性質から、以下のようなSEとしての知識/経験を体系立てて整理することができます。これはプロジェクトマネジメントに特化した他の試験にないメリットだと言えます。

<SEとしての広く浅い知識>

 選択式問題を勉強する過程で、知識の幅が広がります。苦手な領域は丸暗記せざるを得ませんが、それでも知っているのか、全く知らないのかでは業務で相まみえた時の対応の幅が全くことなります。業務SEだった私の経験から、基盤SEが話す言葉や成果物の意味をぼんやり捉えられるだけでもかなり有益だったと感じます。得意な領域はさらに伸ばすことが可能です。

<論理的思考法の定着、国語力の鍛えなおし>

 午後Iでは、文章と問題から、出題者が何を答えさせようとしているかを導き出し、さらには文字数内に回答するということが必要です。もはや国語の問題に限りなく近いです。ただし、プロジェクトの問題点や、改善点に対する着眼点はこの試験で鍛えることができますので、これまでの経験の棚卸しのよい機会になります。

<自身の経験、強みの棚卸し>

 午後II試験では、自身のプロジェクトマネージャの経験から論文を執筆します。その試験の特性から、事前の準備として、論文ネタにするプロジェクトを選定し、PMBOKの様々な角度からの問に対するストーリーを複数作成しておくことになります。論理破綻を起こさないために、可能な限り経験に即したストーリーが好ましいので、引き出しの多い人ほど、有益な棚卸しになると思います。

以降は、経験上、IPAのプロマネとの比較しておすすめまで至らなかった理由を記載していきます。

PMP(プロジェクトマネジメント・プロフェッショナル)

PMP® とは、PMI 本部が認定しているプロジェクトマネジメントに関する国際資格です。
PMP® 試験は、PMI が策定した知識体系である PMBOK® (Project Management Body of Knowledge) ガイド に基づいて実施され、受験者のプロジェクトマネジメントに関する経験、教育、知識を測り、プロフェッショナルとしての確認を目的として実施されます。
専門知識を有していることを証明するために、米国PMI本部が資格認定を行うものであり、法的な資格、免許ではありません。

PMP® 資格は、プロジェクトマネジメントに関する資格のデファクト・スタンダードとして広く認知されており、プロジェクトマネジメント・スキルの評価基準として、IT・建設をはじめとする多くの業界から注目されています。

PMI® 試験・資格について|一般社団法人 PMI日本支部 (pmi-japan.org)

 外資系のITコンサルタントの方にはおすすめな資格だと思いますが、今回、私が経験上からおすすめするにあたっての「国内でSE、あるいは情報システム部門として仕事」をされる方についてはIPAのプロマネほどうまみがないと言えます。ここからは、IPAのメリットの裏返しになる点が多々ありますので、IPAプロマネか、PMPかで取得を迷っている方に見ていただければと思います。

1.受験料が高額&努力感が薄い

 会員価格でも受験料として405ドルが必要です。ウン十万を個人で申し込むのは相当なツワモノです。少なくとも、私は見たことがありません。この高額な受験料は、企業側が負担するというケースがほとんどです。また、企業側も管理職候補、あるいは管理職となった社員にPMP合格を業務命令として指示するため、e-learningや講習会など手厚い研修が業務時間として認められ、また費用も会社負担、というケースがあります。決して、研修を受ければ合格するという易しい試験ではありませんが、逆に言えばその程度の支援と”業務命令”で合格してしまえる、とも言えます。

2.ITSSがレベル3、試験内容に論述がない

 ITSSレベル3の位置づけということもあり、苦労して、努力して合格したという達成感はIPAプロマネと比較するとどうしても劣ります。試験についてもPMPは選択式のみですので、論文ネタを準備し、様々なパターンを試験時間内に書き切るというIPA側がより高難易度の試験と評価されます。

3.希少性が薄い

 前述の難易度と非常に関係することになりますが、PMPの名刺はよく見かけました。前職のITベンダーでは、管理職でプロマネを持っていない方がPMPを取得させられていた、というのが実情です。各試験/資格の細かな合格者数の変遷については他のサイト様にお譲りするとして、私の経験上からも、名刺にPMPの記載があっても特段驚きはなかったです。もちろん、PMBOKをよく理解しているという点では十分な証明になると思いますが、対お客様やITベンダー向けの効果はあまり期待できないと言ってよいと思います。

P2M

製造業の国際競争力強化(もの創りの復権)のためにはPMの開発、普及が有効であり、かつ急務であるとの産業政策上の要請に基づき経済産業省は、このための調査、研究を(財)エンジニアリング振興協会に委託しました。当協会は、これを受けて「PM導入開発委員会(委員長 シドニー工科大学客員教授 小原重信教授)」を設置し、平成11年度から3年間にわたり新しい日本型PM知識体系の開発と資格制度の創設について検討を行ってきました。初年度においては、諸外国における知識体系、資格制度並びに国内の関連資格制度の調査を行い、平成12年度、13年度においては、新しい知識体系および資格制度の検討を行ないました。 委員会では、

 ①米国のものと欧州のものをハイブリッドさせ、これに日本的なものを加える。

 ②今までの思想を超えた、時代の要請にあった新しいものを作る。

という基本方針の下に検討が行われ、米国のPMBOK®や欧州のICBの内容にも十分配慮されており、将来相互承認等の動きが出てきた場合にも十分対応可能な内容となっています。

開発の背景 (pmaj.or.jp)

 Wikipediaで調べてみると、一定の評価がありそうな資格に見えますが、ことIT業界においては名刺にこの資格を記載されている方にお会いしたことがありません。国内のIT業界においては、情報処理技術者試験が国家試験として位置しているため、おすすめ候補からは外れてしまう最大の要因といえます。


終わりに

IT業界の方は、こと名刺に記載される資格情報についてはおおよそ同じ感覚をお持ちではないでしょうか?自身の価値向上という点においては、やはりIPAがイチオシです。難易度も高く、苦労も多いですがその分合格した時の喜びは何にも代えがたいものがあります。別の記事で、合格に向けてのアドバイスをご紹介しますので、よければご覧になってください。

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